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シリーズ第9話
私うえだこうじが『あした、どこかで。』に採用された写真について振り返る新企画
“写真で振り返る『あした、どこかで。』”
9話目は、2016年9月発売となった『あした、どこかで。2』に掲載された写真(右下)を撮影した日のエピソードやその思い入れなどを記録と記憶を辿って語っていきたい。
虚心に注ぎ込まれた言葉はエネルギー
春は始まりの予感…。
とりわけ4月ともなると「新しいことが始まる感」に心が浮き立つ。
この写真を撮ったのは、まさにこれから4月!という3月末のこと。
風はやらわかく、街は桜で満ちている。
スズメたちの繁殖活動も目立ってきて、冬のころとは違い忙しそうだ。
データを振り返ってみると、この日は普段あまり行かない場所で撮影していたようだ。
私がスズメの撮影をはじめたころは、同じ場所に繰り返し通うことで「そこのスズメ」に認めてもらおうとしていた。
しかし、徐々に色々な場所で撮るようになり、どこででもそれなりの成果を得ることができるようになっていた。
もちろん全然ダメな日もある。だがそれは行きなれた場所でも同じだった。
毎度のことだが、スズメの撮影をするにはある程度近づかなくてはならない。
その方法は色々あるが、やはり「さりげなく+関心のない体」を装い、徐々に距離をつめるのが自分には合っているようだ。
この日もそんな戦法で自然体のスズメにアプローチ。
ちょうど茂みと茂みの間。草が少なくなっているところを通りかかるスズメを捉えた。
向こうも「おっ!」というような表情になったが、それが良かった。
偶然むかしの友達と出会ったような…
1人と一羽の間に春風が吹いたような…
そんな気持ちになった。
瞬間、脳裏をよぎる言葉があった。
“どこからでも始められるよ”
迷っていた。
人生を積み重ねると、今さら無理と思うことも多い。
諦めてしまうものが多くなる。
しかしこの言葉を“感じる”ことができたおかげで
「ヨシ!まだこれからだ!!」という気分になれた。
『あした、どこかで。2』で「そこから始めればいいんだから。」というシーンがあった時、是非この写真を使って欲しいとしつこくお願いした。
だって、撮影した時に感じたことと重なると思ったから。
人間だから、日本人だから、春とか4月とか、そんな概念に囚われて生きている。
それがそもそも“この感覚の源”なのかもしれないが、スズメを介して「どこからでも」と言い換えられた。
そうだ、そうなんだ!
生き物は死ぬまで生きる。人間も同じ。だったらいつだって、どこからだって始めていいんだ。
もう歳だとか、いつ終わるとか、そんなの余計なことなのだ。
スズメたちは精一杯生きている。
失敗の多い人生ではあるが、私も死ぬまで精一杯生きたいと心より思う。
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