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シリーズ第8話
私うえだこうじが『あした、どこかで。』に採用された写真について振り返る新企画
“写真で振り返る『あした、どこかで。』”
8話目は、2016年9月30日発売『あした、どこかで。2』に掲載された、桜散る4月に雨の中で撮影した日のエピソードやその思い入れなどを記録と記憶を辿って語っていきたい。
雨の中スズメと共に見た
桜を私は忘れない
ソメイヨシノの季節は短いというのに、雨や曇りの日が多い。
自然の写真を撮るのだからそれもまた良いが、何となく「晴れてくれ」と願ってしまう。
しかしこの日も雨だった。
ニコンのサービス(NPS)の窓口の人に、雨中はレインカバーを付けないと、スイッチ類から不意に浸水してレンズがダメになるよ。と笑顔で脅されていたため、一応自前の望遠レンズに合うレインカバーを装着して外に出る。
しかし私の撮り方が悪いのか、どうにもしっくりこないので結局カバーを外して撮影を続行。
雨脚はどんどん強くなっていく。
実際問題としてスズメもいなくて、もうこのくらいにしておこうかと思ったが、一応最後にあたりを見回してみる。
すると大きな桜の木の下で小さな影が動いている。
スズメだな。
直感でそう思った私は、そのスズメから影になる位置に大きく回り込み、桜の幹に隠れるように接近した。
幹に一度寄り掛かりそっとレンズを出してみると、やはり一羽のスズメがいた。
最初は高い位置から撮影していたが、こちらをあまり気にするようでもなかったので、一度木の裏に身を潜めてから体勢を低くして、もう一度覗き込む。
何かそこに食べ物でもあったのか?
ずぶ濡れになって地面をほじくり、時おり顔を上げ周りを見回す。
その顔を上げた時の表情がたまらなく切なかった。
花見にも色々あるが、雨の中スズメと共に見た桜は、私の心の奥に深くしみた。
因みに、この時使用したニッコールレンズは、かなり雨に濡れたが無事だった。
撮影同日の別カット
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