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シリーズ第7話
私うえだこうじが『あした、どこかで。』に採用された写真について振り返る新企画
“写真で振り返る『あした、どこかで。』”
7話目は、2016年9月30日発売『あした、どこかで。2』の裏表紙に採用された子を撮影した日のエピソードやその思い入れなどを記録と記憶を辿って語っていきたい。
写真家の思いと作家の思い…
ふたつが重なり合った一枚
『あした、どこかで。2』の裏表紙に採用された子を撮ったのは、秋も深まりをみせる10月26日のこと。私のテーマである「足もとの自然」の中からスズメをクローズアップした1st写真集を出版したばかりの頃だ。
当時はスズメの写真集が売れるとは思っておらず、「売れたらいいな」くらいにしか考えていなかった。そして次はどんな書籍・写真集を出せるかな? などとあれこれ思いを馳せ、日々撮影活動をしていた。
スズメの写真だけでなく、その周辺に共存している自然も私のモチーフ。しかしスズメの写真を撮りながら花や蝶を思うように撮影するとなると機材が増える。
しかしそれはそうなのだが、重く嵩張る機材を増やすのは撮影環境とマッチしない…。
という悩みから、当時はSIGMA 150mm F2.8 MACRO HSMをOLYMPUS E-5に装着し、好んで使っていた。
これならボディ×1、レンズ×1で換算300mmの望遠からマクロも使える。
正直にいうと、スズメを撮る場合せめて400mmくらいは欲しいのだが、そこは接近テクニックを駆使してカバーだ。
裏表紙の子に出会ったのは、まさに花や蝶にも取り組みながらそんな試し撮影を精力的に行なっていた頃だった。この子は私の話にはよく出てくる「小さな森」にいて、周囲を囲む茂みからゴソゴソっと姿を表してくれた。
「小さな森」というのは、公園の通路の脇にある人工のもので、そこはコブシ、サクラ、ハナカイドウ、モッコウバラ、ヤマボウシなど様々な花が咲き、秋にはイロハモミジなどの美しい紅葉がみられる場所だ。
この子を上からではなく下から撮りたい。
私は後ろにさがる動作をしつつ体勢を低くした。
木に止まっていればそれは当たり前だが、地上にいる時にそれをやりたい。そう撮ることにより、スズメという小さな生き物の「強さ」が表現できるのではないか?
そう思ったからだ。
この写真を裏表紙に決めたさえぐさはなえさんは選んだ理由として
「時には周囲に左右されない“強い心”を持つことが大事だよ」という意味を伝えられる写真だと思った
と語った。まさに私が撮って伝えたかった思いが届いた気がした。
一見小さく可愛いスズメだが、観察していると力強い生命力をひしひしと感じる。私はそれに敬服し、その思いを写真に撮った。そしてそれが『あした、どこかで。2』に込めた作家さんの思いと重なったのだ。
こんなに嬉しいことはない。
撮影同日の別カット
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